智慧と共感の未来へ
本校は、寛保元年(1741年)に真宗高田派専修寺末寺僧侶の研修道場として宗典講義を始めたのを源とし、明治政府より発布された学制に応じて一般子弟に仏典、漢文を講義した明治5年(1872年)を開校の年としています。以来150年余の間、一貫して仏教の教えを根本とし、一人一人が自分自身と真摯に向き合い、自らを高めていける人材の育成に努めて参りました。
真宗の開祖親鸞聖人が最も大切とされた『仏説無量寿経』にある「言行忠信 表裏相応」(言行に誠意があって表裏なく、己をいつわらず、他をいつわらない)を校訓とし、また、「貫綜縷練」(徹底して学び続け、精通・熟達していく)の語を掲げ、確かな学力と豊かな人間性を身につけることを目指した教育を行っています。
本校は、令和6年に文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、また、ユネスコスクールとして持続可能な社会の創造に向けた教育(ESD)にも注力しています。
科学的思考と倫理的想像力の両立。これは、急激に変化する21世紀を生き抜くうえで不可欠な資質です。SSHでは「科学技術と社会との関係性」を重視し、生徒たちは課題発見・解決型の探究活動に主体的に取り組んでいます。一方でユネスコスクールとしては、地球規模の課題に向き合い、グローバル・シティズンとしての視点を涵養しています。
国際理解教育も、単なる語学や異文化交流にとどまるものではありません。異なる価値観に触れ、「ちがい」を受け入れ、そこから新たな視座を得ること——それはまさに、仏教が説く「縁起」の思想にも通じる営みです。一人ひとりが他者と深くつながり合いながら、この世界に参与している存在であることを実感する。そうした気づきを、日々の学びのなかに織り込んでいます。
私たちが育てたいのは、知性と共感力を併せ持ち、持続可能な未来を切り拓く人間です。そのためには、「問い続ける力」「学び続ける意志」、そして「共に生きる智慧」が必要です。自己実現と他者貢献の両立——それが、本校の目指す人間像です。
仏教的価値に根ざした静かなまなざしと、科学的・国際的視野に裏打ちされた挑戦心。その両輪によって、一人ひとりの生徒が、かけがえのない可能性を咲かせていく。そんな学校であり続けたいと、私たちは願っています。
未来を見据え、共に歩む学び舎として、皆さまとのご縁を心よりお待ちしております。
学校長 福山 茂